RSウイルス予防接種vaccine of Respiratory syncytial virus

RSウイルスとは?

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は呼吸器に感染するウイルスで、毎年秋〜冬に流行します。乳幼児では重篤な呼吸器疾患を引き起こすことがあります。

赤ちゃんへのリスク

特に生後6か月未満の赤ちゃんは免疫が未熟で、RSウイルスによる細気管支炎・肺炎を発症しやすく、入院が必要になるケースもあります。

抗体の移行(受動免疫)

母体がワクチンを接種して抗体を獲得すると、その抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行(受動免疫)し、出生直後から感染を防ぐ効果が期待できます。

ワクチンの種類

妊婦向けに承認されているRSウイルスワクチン(**アブリスボ®)は、RSウイルスのFタンパク質を標的とした組換えサブユニットワクチンです。

ワクチン接種のステップ

接種の流れ

  1. 妊娠週数の確認(妊娠32〜36週)
  2. 接種の推奨時期は妊娠32〜36週(妊娠後期)です。この時期に接種することで、出産前に赤ちゃんへ十分な量の抗体が移行します。

  3. 問診・健康状態の確認
  4. 接種前に医師が問診を行い、アレルギー歴・既往歴・現在の体調を確認します。接種できない場合はご説明します。

  5. ワクチン接種(1回のみ)
  6. 上腕に筋肉注射で1回接種します。所要時間は接種自体で数分です。接種は妊娠期間中に1回のみです。

  7. 接種後の経過観察(約15〜30分)
  8. アナフィラキシーなどの副反応に備え、接種後は院内で経過観察を行います。異常がなければ帰宅可能です。

接種推奨時期まとめ

項目内容
推奨週数妊娠32〜36週
接種回数 1回(筋肉注射)
接種部位上腕(筋肉注射)
費用任意接種(自費)※詳細はご相談ください
保護期間 生後約6か月間を目安

接種できない場合

    以下に該当する方は接種ができません。
  • 過去に本ワクチン成分にアレルギー反応を起こしたことがある方
  • 37.5℃以上の発熱がある方(体調回復後に再検討)
  • 重篤な急性疾患にかかっている方
  • 医師が接種不適当と判断した方

安全性について

妊婦向けRSウイルスワクチン(アブリスボ®)は、大規模な臨床試験(MATISSE試験)により有効性と安全性が確認されており、日本でも2024年に承認されています。

主な副反応

よくある副反応(10%以上)

  • 注射部位の痛み・腫れ
  • 頭痛
  • 倦怠感・疲労感
  • 筋肉痛・関節痛

まれな副反応(1%未満)

  • 発熱(軽度)
  • 吐き気・嘔吐
  • アナフィラキシー(極めてまれ)

臨床試験(MATISSE試験)の主な結果

対象期間重症RSV下気道感染症の予防効果
生後90日以内**約81.8%**
生後180日以内 **約69.4%**
> ※ NEJM 2023; 388:1451-64より。数値は参考値であり、個人差があります。

早産リスクについて

臨床試験において、接種群でわずかに早産の数値上の差が観察されたとの報告がありますが、現時点では因果関係は確立されていません。主治医と十分に相談のうえ接種をご判断ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 赤ちゃんに直接接種することはできないのですか?
A. 生後6か月未満の赤ちゃんへの直接接種用RSワクチンは現在承認されていません(日本では2024年時点)。母体への接種による受動免疫が、この時期の赤ちゃんを守る有効な方法です。なお、生後6か月以降の乳幼児向けには長時間作用型モノクローナル抗体製剤(ニルセビマブ)の選択肢もあります。
Q. 他のワクチン(インフルエンザ・百日咳など)と同時に接種できますか?
A. 現時点では、他のワクチンとの同時接種に関するデータが限られているため、原則として間隔をあけての接種を推奨しています。具体的なスケジュールは主治医とご相談ください。
Q. 費用はどれくらいかかりますか?
A. RSウイルスワクチンは現在任意接種(自費)です。費用は医療機関により異なりますので、当院受付またはスタッフまでお問い合わせください。自治体の助成制度が利用できる場合もあります。
Q. 前回の妊娠でも接種しました。今回も必要ですか?
A. 前回の接種から時間が経過している場合や、新たなお子さんを守るために、今回の妊娠中にも接種をご検討ください。抗体の持続期間や接種間隔については主治医にご相談ください。
Q. 母乳育児中でも接種して問題ありませんか?
A. 接種は妊娠中(分娩前)に行うものです。産後の授乳中への影響については現時点でのデータが限られますが、母乳を通じた抗体移行による追加的な保護も期待されています。詳細は担当医師にお尋ねください。

おすすめ公式サイト・参考資料

より詳しい情報は下記の公的機関・学会のサイトをご参照ください。

機関名内容リンク
厚生労働省ワクチン・感染症対策の公式情報mhlw.go.jp
国立感染症研究所(NIID) RSウイルス感染症の疫学情報・調査報告niid.go.jp
日本産科婦人科学会(JSOG)妊娠中のワクチン接種に関するガイドラインjsog.or.jp
日本小児科学会(JPS)乳幼児のRSウイルス予防に関する推奨 jpeds.or.jp
WHO(世界保健機関) RSVワクチンに関する国際的なガイダンスwho.int
CDC(米国疾病予防管理センター) 妊婦向けRSVワクチンの最新情報(英語)cdc.gov

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